潤羽るしあは、カバー株式会社が運営するVTuberグループ「ホロライブ」の元メンバーです。
2019年7月18日にホロライブ3期生(通称「ホロライブファンタジー」)としてデビューし、YouTubeでの動画配信活動を開始しました。
ホロライブ3期生には兎田ぺこら、宝鐘マリン、不知火フレア、白銀ノエルといった人気VTuberがおり、潤羽るしあもその一員として注目を集めました。
デビュー当初から可愛らしい声とビジュアルでファンを惹きつけ、わずか半年でチャンネル登録者数が10万人を突破するなど順調な滑り出しを見せます。
同年12月には初の3Dモデルお披露目配信を行い、立体的な姿でのパフォーマンスを披露しました。
以降も精力的に活動を続け、歌ってみた動画の投稿やホロライブ公式企画への参加、ライブイベント出演など多方面で活躍していきます。
2021年3月3日にはYouTubeチャンネル登録者数100万人を達成し、ホロライブ内でも11人目となるミリオンVTuberとなりました。
当時のVTuber界でもトップクラスの人気を誇り、後述するようにスーパーチャット(投げ銭)収入ランキングでも世界屈指の実績を残しています。
キャラクターと配信スタイルの特徴
潤羽るしあは「魔界学校に所属するネクロマンサーの少女」という設定で活動していました。
人前に出るのが苦手で寂しがりや、というキャラクター像を持ち、配信では「こんるし~! 潤羽るしあなのです!」という挨拶で始めるのが定番でした。
デビュー当初は清楚で可憐な雰囲気と小動物のようにか弱い声が特徴で、いかにも妹系の可愛らしさを前面に出していました。
しかし配信を重ねる中で、ゲーム中のハプニングやリスナーのコメントをきっかけに激しく取り乱す一面が徐々に顕在化します。
感情が高ぶると机を叩いたり大声で叫んだりする彼女のいわゆる「キレ芸」が人気となり、普段とのギャップが視聴者の笑いを誘いました。
可愛い声で甘えていたかと思えば急に怒り狂う様子から、ファンの間では「きれるしあ」の愛称が定着し、驚異的な絶叫は某アニメの暴走シーンになぞらえて「初号機」というユニークなあだ名も付けられています。
もっとも、そうしたコミカルな豹変ぶりも演出の一環であり、実際には意図的に面白いタイミングで怒ることで配信を盛り上げるサービス精神旺盛な一面がありました。
このように清楚さと激しさが同居するキャラクターでありながら、根底にはリスナーを楽しませたいという気持ちが感じられる点が彼女の配信スタイルの特徴と言えます。
また料理配信などでは生活音が聞こえたり、リスナーに語りかけるような演出で「まるで恋人と過ごしているかのような気分になれる」と評判になるなど、距離の近い交流も大切にしていました。
実際、バレンタインにはお菓子作り配信で手作りチョコを一緒に作る企画を行ったり、誕生日にはエンゲージリング(婚約指輪)やペアマグカップといったグッズを販売するなど、ファンとの特別な絆を演出する試みも見られました。
人気の理由とファンからの評価
潤羽るしあがここまで高い人気を博した理由として、まず挙げられるのが前述したギャップ萌えの魅力です。
普段は愛らしく控えめなのに、一度スイッチが入ると感情むき出しで暴走する——そんな二面性が視聴者に強烈な印象を残しました。
このヤンデレ的なキャラクター性は他のVTuberにはあまり見られない個性であり、「清楚に見えて実は烈火のごとくキレる」という意外性が笑いを誘い中毒性を生んだのです。
さらに、ファンに対しては常に「一人にしないで」「ずっと一緒にいてほしい」と語りかけるような姿勢を取り、リスナーを大切に想う気持ちが強く伝わってきました。
このためファンからは「配信を見ていると自分が特別に想われているように感じられる」「どんな時もリスナーに寄り添ってくれる」と高く評価され、いわゆる“ファン思い”のVTuberとして支持されていました。
実際、潤羽るしあのファンネームは「ふぁんでっど」といい、彼女の設定にちなみファンを“死者(デッド)でも彼女に付いていく存在”として扱うユーモアも見せています。
このような濃密なファンコミュニティの形成に加え、ホロライブ3期生全体のブレイクも潤羽るしあの人気を押し上げた一因です。
ホロライブファンタジー(3期生)はホロライブ内でも特に人気メンバーが揃った世代であり、箱推し(グループ全体のファン)からの注目も高く、コラボ配信などで彼女の存在を知った視聴者も多くいました。
その結果、潤羽るしあのチャンネルは急速に成長し、配信開始から約2年半という比較的短期間で登録者数が百万を超えるまでになったのです。
また人気の指標として顕著なのがスーパーチャット(視聴者からの投げ銭)収入で、潤羽るしあは2021年の年間スーパーチャット世界ランキングで第1位を記録しています。
海外の集計サイト「Playboard」によれば、同年に彼女が集めたスーパーチャット総額は約1億9449万円にも達し、これは当時世界中のYouTubeチャンネルの中でもトップクラスの数字でした。
これほどまで多くの投げ銭が集まった背景には、日頃から配信でファンとの交流を重視し信頼関係を築いてきたこと、そして「推しに貢献したい」とファンに思わせるだけの魅力が潤羽るしあに備わっていたことがうかがえます。
炎上騒動の概要
しかし、輝かしい実績とは裏腹に、2022年初頭に潤羽るしあを巡る大きな騒動(炎上事件)が発生しました。
きっかけは2月上旬、潤羽るしあの配信中にプライベートなメッセージの通知が画面上に映り込んでしまったことです。
この出来事から「もしかして男性との交際があるのではないか」という憶測がインターネット上で瞬く間に広がり、一部SNSや掲示板では大騒ぎとなりました。
ファンの中には動揺する者や失望を表明する者も現れ、逆に過熱する噂を面白半分に拡散する人々も加わって、状況は日を追うごとに深刻化していきます。
事実関係が不明瞭なまま誹謗中傷やデマ情報まで飛び交う事態となり、潤羽るしあ本人も相当な精神的負担を強いられたと推測されました。
こうした異常事態を受け、ホロライブ運営元であるカバー株式会社は2022年2月14日付で公式声明を発表します。
その中で同社は「当社所属タレントのプライベートは本人に一任している」と述べ、潤羽るしあの私生活に関する憶測については慎重な対応を求めました。
併せて、虚偽の情報拡散やタレントへの誹謗中傷には法的措置も辞さない姿勢で臨むことを示し、ファンと関係者に向けて冷静な対応と引き続きの応援を呼びかけました。
この公式発表によって一時的に沈静化が図られたものの、依然としてネット上では憶測が完全には止まず、騒動の余波は残っていました。
契約解除とホロライブ卒業の経緯
炎上騒動の渦中にあった2022年2月24日、カバー株式会社は再び公式サイトに声明文を掲載し、潤羽るしあとの専属タレント契約を同日付で解除したことを発表しました。
この突然の発表はファンのみならず多くのVTuber業界関係者にも衝撃を与え、ホロライブからの電撃的な“卒業”という形になりました。
運営会社の発表によれば、契約解除の理由は先の騒動そのものではなく、コンプライアンス上の重大な問題が確認されたためと説明されています。
具体的には、「会社で知り得た機密情報や、SNS上でのやり取りを許可なく第三者に漏洩した契約違反行為、および関係各所へ虚偽の申告を行うといった信用失墜行為」が認められたためとされています。
要するに、潤羽るしあが所属タレントとして守るべき情報管理のルールに反し、社外秘の情報や内部のやり取りを無断で外部へ提供してしまったこと、さらに事態に関して関係者に誤った報告をしていたことが確認され、これ以上マネジメントやサポートの継続が困難と判断されたのです。
この決定はあくまで企業コンプライアンス上の措置であり、カバー株式会社は「今回の件を重く受け止め、再発防止に努める」と表明するとともに、約2年7ヶ月にわたる潤羽るしあの活動に対しファンや関係者へ感謝と謝罪の言葉を述べました。
発表当日にはホロライブ公式Twitter等のSNSアカウントでも同内容のお知らせが投稿され、突然の契約解除報告に戸惑うファンに向けて公式からの情報が伝えられています。
なお、この契約解除に伴い潤羽るしあのYouTubeチャンネル及びメンバーシップは同年3月末をもって閉鎖され、発売予定だった誕生日記念グッズ(前述のアクリルスタンドや指輪セットなど)については購入者への返金対応が実施されました。
ホロライブでは過去にも一定期間活動したタレントが卒業(引退)する例はありましたが、明確な契約違反を理由とした途中解約は異例の事態であり、多くのファンが驚きと残念な気持ちを抱いたのも事実です。
突然の幕引きとなってしまいましたが、公式発表以降、潤羽るしあ名義での活動はすべて停止となり、ホロライブの公式サイトからもプロフィールが削除されるなど、その存在は事実上“なかったこと”として扱われています。
カバー株式会社はこの件に関し「ご心配をおかけしました」「引き続き所属タレントの応援をお願いします」とファンに呼びかけ、ホロライブ全体として前に進んでいく姿勢を示しました。
管理人のひとこと
約2年半という活動期間はVTuberとしては決して短くなく、その間に彼女がもたらした笑いや感動は計り知れません。
突然の契約終了は非常に残念ではありますが、これまで潤羽るしあがホロライブで築いてきた功績と思い出は色あせることなくファンの心に残り続けるでしょう。
炎上から契約解除に至る一連の流れはVTuber業界に大きな教訓を残しましたが、同時に彼女が愛された存在であったことも改めて浮き彫りになったように思います。
今後ホロライブ運営も含めVTuber界全体がより良い方向に向かっていくことを願いつつ、ひとまずは彼女が残してくれた配信での楽しい思い出に感謝したいですね。
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