ホロライブ夏イベントの背景
ホロライブプロダクションはVTuberグループとして世界的な人気を持ち、女性VTuberだけでも多くのメンバーが活動しています。
毎年夏には季節をテーマにした特別企画が実施され、2025年夏は「ホロナツパラダイス」という大型イベントが開催されました。
イベントは7月9日の開会式を皮切りに、VRChatを使った交流企画、楽曲公開、特別配信など多岐にわたって展開され、ファンがメンバーの夏の姿を楽しめるように設計されています。
企画の目玉の一つが、限定イラストを使用したグッズの販売で、後述するポップアップショップに多くのファンが注目しました。
SHIBUYA TSUTAYA POP UP SHOPの概要
ホロナツパラダイスのオフィシャルグッズは東京・渋谷の「SHIBUYA TSUTAYA」6階にあるIP書店で販売されることになりました。
ポップアップショップは2025年8月1日から8月31日まで1か月間開催され、営業時間は午前9時から午後9時までと長めに設定されています。
主催はツーゲートとNTTドコモスタジオ&ライブで、カバー株式会社協力のもとで企画が行われました。
会場では夏らしい新イラストを用いたグッズのほか、フォトスポットや展示コーナーも用意され、来店者が夏のホロライブの世界観を楽しめるように工夫されています。
公式プレスリリースでは、ホロライブが世界最大級のバーチャルタレント事務所であり、所属チャンネル登録者総数が8億人を超えることが強調されており、企画の規模の大きさが窺えます。
66種ランダムグッズの内容とグループ分け
当初のポップアップショップでは、参加メンバー66人をモチーフにした「浮き輪キーホルダー」「アクリルコースター」「アクリルチャーム」が1商品あたり66種類用意され、それぞれがランダムで販売される予定でした。
浮き輪キーホルダーは1個1,540円、アクリルコースターは1個1,320円、アクリルチャームは1個660円で、いずれもブラインドパッケージ仕様となっていました。
グッズには各メンバーが水着や浮き輪を身に付けた夏限定のイラストが使用され、デフォルメされた姿や夏の小物とともに描かれているため、ファンにとってコレクション性の高いものです。
販売元は66種類をそのままシャッフルする方式を予定していましたが、あまりに種類が多いことから希少なメンバーを引き当てられる確率が極端に低くなり、推しを揃えたいファンにとって負担が大きいとの指摘が多数上がりました。
この問題を受けて運営側は商品ラインアップを5つのグループに分け、各グループ内でランダム販売を行う方式に変更すると発表しました。
販売方法が変更された後のグループ分けは以下の通りです。
- グループA(12種):0期生・1期生・インドネシア1期生のメンバーで構成されます。
- グループB(13種):2期生・ゲーマーズ・インドネシア2期生・英語版初期組(Myth)が対象です。
- グループC(14種):3期生・4期生・インドネシア3期生・英語版のPromise(旧CounciI)に属するメンバーです。
- グループD(13種):5期生・秘密結社holoX・英語版のAdventのメンバーが含まれます。
- グループE(14種):DEV_ISからのReGLOSS、Flow Glow、Justiceの三つのユニットが参加しています。
購入者はグループを選んだ上でランダムな絵柄を手に入れる形式となり、66種を一括で購入するよりも推しキャラクターの出現確率が上がるように調整されました。
このグループ分けは公式サイトでも告知されており、各グループの内訳やイラストのサンプルが公開されています。
ランダム形式への批判と炎上の経緯
66種類ものグッズをランダムで販売する方式は、アニメやゲーム業界で広く採用される「トレーディング仕様」と同じ仕組みですが、今回の規模と価格設定はファンから大きな批判を浴びました。
1点あたりの価格が高く、推しメンバーを引き当てるために大量購入する必要があることが「搾取的だ」と受け止められ、多数のSNS投稿やハッシュタグが拡散されました。
特に戌神ころねは自身の配信の中で「66種のランダムなんやねん」「ファンに笑顔で買ってね!とは言えない」と率直な感想を述べ、所属タレント側からも疑問の声が上がったことが話題になりました。
同じく白上フブキなど複数のタレントがランダム方式に対する憤りを示し、ファンとタレントの双方が不満を表明したことで炎上が加速しました。
販売形式に対する批判は、ランダム販売が転売業者を助長しやすいことや、環境負荷につながる過剰包装も問題視され、消費者庁が過去に注意喚起した「過大な景品提供」に関する議論も引き合いに出されました。
運営側の謝罪と販売形式の変更
炎上を受け、7月17日にSHIBUYA TSUTAYAの公式Xアカウントが「お詫びとお知らせ」と題した文章を公開し、66種類のランダム販売形式を行う予定だったことについて多くの意見や指摘を受けたと認めました。
同アカウントは、ファンやタレントの意見を反映して販売方法をすぐに改めると約束し、その後、グループごとのランダム方式に変更することを発表しました。
お知らせでは、ランダム販売自体は残るものの「根本的な解決策にはならない」という意見も理解していると述べ、再発防止や販売方法の改善に努める姿勢が示されました。
この対応は謝罪文公開から数日以内に行われ、業界では比較的迅速な対応として評価されています。
変更後のグループ分けは前述の通りで、66種全体ではなく12〜14種の中からランダムに絵柄が出る仕組みとなり、推しキャラクターを引き当てる確率が高くなるよう調整されました。
66人参加によるホロライブの層の厚さ
今回のランダムグッズ騒動は、ホロライブに所属するタレントの数が急激に増えていることを示す側面もありました。
公式サイトの一覧を見ると、0期生から5期生までの日本組だけでなく、ゲーマーズ、秘密結社holoX、インドネシア支部、英語支部、DEV_ISといった多様なユニットが存在します。
それぞれのユニットが独自の世界観や活動方針を持ち、音楽活動やゲーム配信、バラエティ企画など得意分野も異なるため、単純に「ホロライブ」と一括りにできないほど多彩な層が形成されています。
今回のグッズ企画で参加メンバーが66人に絞られたのは、卒業や長期休止中のタレントを除き、現時点で活動している女性VTuberの大部分を網羅した結果です。
ファンの間では「なぜこのメンバーが含まれていないのか」という議論も出ましたが、現在の活動状況や契約の都合など複合的な理由によるものと見られます。
ランダム商法とファン文化の課題
アニメやVTuber業界では、いわゆる「ランダム商法」が恒常的に用いられています。
ブラインド販売は生産コストを抑え、在庫リスクを減らす効果がある一方で、購入者が欲しい商品を手に入れにくくなるため、ファンの出費が膨らみやすい構造です。
過去には景品表示法に抵触する「コンプリートガチャ」が問題となり、ゲーム業界で規制が強化された経緯がありますが、物販におけるランダム販売は法律的にはグレーゾーンとされてきました。
今回のホロライブ騒動をきっかけに、ファン文化と商業的な仕組みのバランスについて再考する声が高まっています。
運営側には、今後もランダム販売に頼りすぎず、受注生産やオンライン受け取りなど多様な販売方式を検討してほしいという意見が寄せられています。
今後のホロライブイベントへの影響
ホロナツパラダイス自体はグッズ騒動とは別に盛り上がり、多くの配信企画が好評を博しています。
7月後半には各メンバーの個人チャンネルでリレー形式の歌配信が行われたり、8月にはVRChat内でホロライブメンバー同士が競うバトルイベントが開催されたりと、イベント全体のラインアップは非常に豊富です。
ランダムグッズ問題は一部の企画での対応が不適切だったことが原因であり、他の企画にはほとんど影響を与えていないものの、運営は今後の企画で同様の批判を繰り返さないよう慎重な姿勢を示しています。
ファンにとっては、企画全体の楽しさと物販の公平性を両立させることが大切であり、今後は参加者の声をより反映したイベントづくりが期待されています。
将来的にはオンラインとオフラインを融合した形での参加型企画や、海外ファンが参加しやすい時差を考慮した配信スケジュールなど、グローバルな視点からの改善も求められています。
まとめ
66種ランダムグッズ騒動は、ホロライブという巨大なVTuber事務所が直面した新しい課題を浮き彫りにしました。
推しキャラクターのグッズを手に入れたいというファン心理と、ランダム販売による収益モデルの間には溝があり、双方の信頼関係が試される結果となりました。
運営側が謝罪しグループごとのランダム販売に変更したことで、問題はある程度収束しましたが、根本的な解決には今後の販売方式や企画の透明性が重要になるでしょう。
ホロライブには多種多様なメンバーが在籍し、世代やユニットを超えたコラボレーションが魅力です。
今回の出来事を教訓として、ファンと運営がより良い形でコミュニティを築くことが期待されています。
管理人のひとこと
ホロライブファンの一人として、今回のランダムグッズ騒動には複雑な思いがあります。
大好きなメンバーのイラストを使った限定グッズは魅力的ですが、66種という膨大なラインアップをランダムで引き当てるのはあまりに現実的ではありません。
運営がすぐに謝罪しグループごとの販売方式に変更したことは評価できますが、今後は「推しを確実に迎えられる方法」を最初から検討してほしいと感じました。
ファン側も転売を助長しないよう冷静に行動し、本当に欲しい物を適正な数だけ購入する姿勢を忘れないようにしたいものです。
夏のホロライブイベントはまだまだ続きますので、物販だけでなく配信やVR企画など、推し活を健康的に楽しんでいきましょう。
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