「暁」と呼ばれ始めた経緯
「暁」(あかつき)とは、ホロライブを去った元所属タレントたちを指すためにファンの間で使われ始めた非公式の俗称です。
この呼称が生まれたきっかけは、ホロライブ所属タレントである兎田ぺこらさんによる冗談でした。
2024年8月末にホロライブ2期生の人気メンバー湊あくあさんが卒業した後、兎田ぺこらさんは配信内で湊あくあさんのことを「暁」とあだ名で呼んだのです。
この突然の「暁」呼びに視聴者も戸惑いましたが、実はこの表現にはある元ネタがあります。
兎田ぺこらさんは漫画『NARUTO』を引用し、ホロライブを“抜けた”あくあさんを、里(所属組織)を抜けた忍者たちの集団である「暁」に見立てて呼んだのでした。
要するに、ホロライブから離れた“抜け忍”である彼女を、NARUTOの悪役組織「暁」にかけて揶揄したわけです。
この「暁」発言は、兎田ぺこらさんと同期の湊あくあさんとの仲の良さからくる軽口であり、本人もジョークとして用いたものでした。
しかし、当初それを聞いた他のホロライブメンバーやファンの中には意味が分からず首をかしげる人もいました。
大空スバルさんは配信で「暁って何のこと?」と疑問に思い、NARUTOネタだと知って笑い転げたというエピソードもあります。
こうした配信内でのやり取りをきっかけに、「暁」という言葉が徐々に視聴者コミュニティで広まっていきました。
ファンによる「暁」の意味と使われ方
ファンコミュニティでは、次第に「暁」がホロライブを卒業・引退したメンバー全般を指すスラングとして定着していきました。
兎田ぺこらさんのネタ発言を発端に、「暁」は単に湊あくあさん個人ではなく、ホロライブから去った者たち全体を包括する呼称として拡散されたのです。
この用法はミーム(インターネット上のネタ)として半ば冗談交じりに乱用されるようになり、ファン同士の会話やコメントで頻繁に目にするようになりました。
「暁」と呼ぶことで示唆される意味合いには二つの側面があります。
一つは先述の通り「抜け忍の集団」というNARUTO由来のジョーク的ニュアンスです。
ホロライブという“大きな里”から抜けたメンバーたちが、あたかも外界で暗躍する忍者集団「暁」のようだ、という少し皮肉めいた比喩になります。
実際、「暁」のメンバーは作中でも強者揃いで個性が際立っているため、ホロライブを離れたタレントたちも負けず劣らず存在感があるというニュアンスで語られることがあります。
ファンからは「辞めたホロメンの集団に『暁』とはセンスが良い」「暁はキャラが立っていて皆強い」といった声も上がり、ユーモアとして受け入れられました。
ネットやSNSでの「暁」言及例
「暁」という俗称は、ネット上のさまざまな場面で確認できます。
例えば、ホロライブの元メンバーであるの配信切り抜き動画のコメント欄では、「〇〇は暁だから…」といった書き込みが見られます。
実際、Yahoo!知恵袋にも「切り抜きのコメント欄で『暁』と言われているがどういう意味か?」*という趣旨の質問が投稿されており、多くのファンがこのスラングを認知していることが伺えます。
この質問に対するベストアンサーでは、「兎田ぺこら氏が先頃卒業した湊あくあ氏を揶揄して言った表現が由来で、そこから元所属メンバーやその転生先を示すミームとして乱用されている」と解説されています。
つまりSNSや動画サイト上で、「暁」はホロライブを離れた人々やその新たな姿を指すインターネット・ミeme**として広く使われているというわけです。
Twitter(X)上でも、「#暁」や「ホロライブ 暁」といったキーワードで検索すると多くの言及がヒットします。
ファンのツイートには*「あくたん(湊あくあ)を始めとする辞めたメンバーを暁と呼ぶの本当に面白い」といった声があり、ジョークとして楽しんでいる様子が窺えます。
また、「急に『暁』って言われても分からないよね、自分も時間差で気づいた」などと戸惑いつつも受け入れている反応も見受けられました。
YouTube上では「暁呼びを気にしてたあくたん」「暁ネタの出どころを知った夏色まつり」といったタイトルの切り抜き動画がアップされ、話題として盛り上がったことが分かります。
こうしたSNS上での盛り上がりを見ると、「暁」はホロライブファン間の共通言語的なネタになっていると言えるでしょう。
ホロライブ公式での扱いと非公式名称であること
重要な点として、「暁」という呼称はあくまでファン発の非公式なものであり、ホロライブ公式が用いているわけではありません。
ホロライブプロダクション公式サイトには卒業・引退したタレントの一覧ページがありますが、そこで使われている表記はシンプルに「卒業生」です。
たとえば湊あくあさんや桐生ココさん、潤羽るしあさんといった卒業メンバーは公式サイト上で「卒業生」として名前が掲載されているのみで、「暁」などの特殊なグループ名が付けられることはありません。
公式発表やプレスリリースでも、「〇〇さんが卒業する」「契約終了した」といった事実関係が述べられるだけで、ファン用語である「暁」という言葉が用いられることはありません。
ホロライブ運営(カバー株式会社)は基本的に卒業したタレントに関して言及を控える方針を取っています。
特にトラブルで契約解除となったケースでは、残ったメンバーが配信で直接名前を出すことは憚られる雰囲気があります。
そうした中で、兎田ぺこらさんが冗談とはいえ「あくあ=暁」と呼んだのは異例とも言え、逆に言えば直接名前を出さず話題に触れるための機転でもあったのかもしれません。
実際、大空スバルさんなど他のタレントも「ぺこらが暁って言ってたから…」といった形で、あくあさん本人の名前を伏せつつ話題に触れる場面がありました。
もっとも公式としてそれを認めたわけではなく、あくまで配信者個人のユーモアとして行われたことです。
したがって、「暁」はホロライブの正式用語ではなく、ファンと一部ホロメン内だけで通じる内輪ネタの位置づけにあります。
「暁」メンバーに含まれる主な卒業タレント
では実際に「暁」として名前が挙がることの多い元ホロライブタレントには、どのような人物がいるでしょうか。
まず挙げられるのは、この呼称の発端となった湊あくあさんです。
ホロライブ2期生として絶大な人気を博した湊あくあさんは、2024年8月に本人の意志で卒業しました。
卒業ライブは伝説的な盛り上がりを見せ、惜しまれつつもホロライブの舞台を去りましたが、その後ほどなくして新たなVTuber活動を開始しています(ファンの間では中の人が同一人物であると広く認識されています)。
ぺこらさんが「あくあ=暁」と呼んだのはまさに彼女であり、以降“暁の筆頭”のように扱われる存在です。
次に桐生ココさんも「暁」の代表的メンバーと言えるでしょう。
ホロライブ4期生としてホロライブのグローバルな人気拡大に貢献した桐生ココさんは、2021年7月に卒業しました。
卒業理由は公には「本人の希望」とされましたが、ファンの間では様々な憶測も飛び交いました。
彼女は卒業後、既に本人が運営していたVTuber/配信者として活動を本格化させ、後に海外VTuberグループVShojoにも加入しています。
ksonさん自身が度々「元ホロライブ所属」をネタにすることもあり、ファンからは「暁の長(リーダー)的存在」として親しまれています。
同様に、潤羽るしあさんも「暁」の一員として語られます。
潤羽るしあさんはホロライブ3期生として絶大な支持を集めていましたが、2022年2月に契約解除という形で突然の退所となりました。
その後、中の人とされる彼女はネット配信活動を再開し、コメント欄などで「暁入りおめでとう」と皮肉混じりに声を掛ける例も見られました。
るしあさんの場合はトラブルによる契約解除だったこともあり、当初はショックや混乱が大きかったですが、その後は「暁」の一員として温かく見守る声も増えています。
魔乃アロエさんも忘れてはなりません。
ホロライブ5期生としてデビューした魔乃アロエさんは、2020年8月にデビュー直後のトラブルでわずか2週間ほどで卒業となった伝説的存在です。
現在、彼女は不定期にネット上に姿を現すことがあり、熱心なファンが活動を支えています。
短期間で去ることになった経緯から「幻のホロメン」とも称されましたが、ファンの間では彼女も立派な「暁」メンバーの一人です。
彼女がホロライブを去った当時は悲しみの声が大きかったものの、今では他の暁メンバー同様、新天地での幸せを願う声が多数派となっています。
さらに、ホロライブEnglish(EN)の九十九サナさんも「暁」の一員と見なされることがあります。
九十九サナさんはホロライブEN 2期生(Council)のメンバーで、宇宙を司るVTuberとして人気を集めましたが、2022年7月に卒業しました。
英語圏のタレントであるため日本のファンコミュニティでの「暁」ネタで言及される頻度は高くないものの、「ホロライブENから初の暁加入者」と冗談交じりに紹介されたこともあります。
同様に、同じくEN所属だったがうる・ぐらさん(Gawr Gura)やセレス・ファウナさん、七詩ムメイさんも2025年前半に相次いで卒業を発表し、海外ファンからは“the Dawn”(英語での「暁」=夜明けの意)と表現される場面もありました。
「暁」という言葉自体は日本語のため主に日本国内コミュニティのミemeですが、そのコンセプトは言語を超えて共有されつつあります。
なお、ホロライブの男性グループであるホロスターズから卒業したメンバーについても、「暁」に含めて語られる場合があります。
もっとも、こちらはホロスターズ自体のコミュニティ規模がホロライブ本体に比べ小さめなこともあり、「暁」という呼称が使われるケースは稀です。
基本的にはホロライブ本体(女性タレント)の卒業者を指す言葉として定着していると考えて良いでしょう。
まとめ:ホロライブ「暁」の存在とその意図
ホロライブ界隈で生まれた非公式名称「暁」は、ファンの遊び心と愛情が込められたユニークな呼称です。
元は兎田ぺこらさんの何気ないNARUTOジョークでしたが、ファンの創意によってホロライブの歴史の一部を彩るミemeへと発展しました。
「暁」と呼ばれる元メンバーたちは、ホロライブという大きな組織を離れた後も各所で活躍を続けており、その姿はまさに夜明けに旅立った忍(しのび)たちのようです。
もっとも、この呼称には冗談半分のからかいのニュアンスも含まれるため、使う場面や相手には配慮が必要です。
特に本人たちや公式の場では用いられない呼び名であることを踏まえ、あくまでファン同士の内輪ネタとして楽しむのが望ましいでしょう。
それでも「暁」という言葉が広まった背景には、ホロライブを去ったメンバーたちへの複雑な思いが垣間見えます。
悲しみや寂しさ、あるいは裏切られたような感情さえも、ファンたちはユーモアに昇華し、「暁」という象徴的なグループ像を作り上げました。
そこには、「去っていった仲間たちもまた強く輝いている」「新天地でも頑張ってほしい」というエールや、運営側への皮肉や抵抗の気持ちなど、様々な感情が込められているのでしょう。
結果として、「暁」はホロライブファン文化の中で一つの物語的な装置になったと言えます。
ホロライブという“大樹”から独立していった者たちを、一つのグループとして捉え直すことで生まれる連帯感やドラマ性が、ファン同士の会話を盛り上げています。
今後もホロライブから卒業していくタレントが現れるかもしれませんが、その度にファンは冗談まじりに「新たな暁メンバーの誕生だ」と囁き合うのかもしれません。
「暁」――それは公式が決して口にすることのない、しかしファンの間では確かな意味を持つ、愛すべき非公式名称なのです。
管理人のひとこと
ホロライブの世界は常に変化しており、推しの卒業や引退という現実にも向き合わなければなりません。
それでもファンたちは、別れの悲しみをユーモアに変え、「暁」という言葉で過去の仲間たちを見守り続けています。
そこにあるのは、ただのネタや揶揄ではなく、愛情と記憶の継承です。
この記事が、「暁」という言葉に込められた多様な想いを少しでも伝える手助けになれば幸いです。
今後も、去る者にも、残る者にも、あたたかな光が差し込みますように。
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