はじめに
ホロライブの2期生としてデビューし、ユニークな魔法使いキャラクターと軽快なトークで人気を博した紫咲シオンが、2025年3月6日の配信で卒業を発表した。
過去にも長期の活動休止や体調不良で心配されたことはあったが、突然の「卒業宣言」はファンに大きな衝撃を与えた。
発表時点での登録者数は130万人を超え、ホロライブの黎明期からグループを盛り上げてきた功労者でもある。
このため、彼女の卒業はホロライブ全体の動向にも大きな影響を及ぼす出来事となった。
本記事では紫咲シオンのプロフィールや活動歴、卒業に至った経緯、ファンの反応、卒業ライブの内容、ホロライブ全体への影響などを詳しく解説する。
紫咲シオンとは何者か
2018年8月17日にホロライブ2期生としてデビューした紫咲シオンは、魔法学校から来た自称最強の魔法使いという設定で活動していた。
担当イラストレーターは人気絵師のTam‑U氏で、3Dモデルはヒノイチ氏が制作し、さらにrariemonn氏が新Live2Dモデルを担当した。
愛称は「シオン」で、身長145センチと小柄な体格ながら、自信満々な言動とコミカルなトークで視聴者を楽しませてきた。
ゲーム実況や歌ってみた、雑談配信など幅広いコンテンツを提供し、デビュー翌年には登録者10万人を突破するなど急成長を遂げた。
2022年4月には登録者100万人を突破し、ゴールドクリエイターアワードを受賞するなど、ホロライブの中でも屈指の人気者となった。
紫咲シオンの楽曲活動も注目を集めた。
2021年にはオリジナル楽曲「メイジ・オブ・ヴァイオレット」をリリースし、その後も「シャンデリア」「シンデレラ・マジック」といったシングルを発表した。
2024年1月にはコミカルなノリが光る「リア充★撲滅運動」を発売し、2024年12月にはバースデーソング「ゴメンねメディスン」を公開するなど、歌手活動にも力を入れていた。
これらの楽曲はライブやイベントでも披露され、シオンの世界観を彩る重要な要素となっている。
休止と復帰を繰り返した活動歴
順風満帆に見えた紫咲シオンだが、2023年末には体調不良を理由に長期の活動休止に入った。
12月21日に配信活動とSNSを当面の間休止することを発表し、突然の休止にファンからは心配の声が相次いだ。
この休止期間中は参加予定だったイベントや収録についても協議しながら進めると説明され、復帰時期は未定のまま年を越した。
2024年春、彼女は約4か月ぶりに動画を投稿してファンを驚かせた。
4月26日にはCreepy Nutsの楽曲『Bling‑Bang‑Bang‑Born』をカバーした動画を公開し、休止中でも歌やパフォーマンスを届けたいという思いを示した。
さらに8月17日には約7か月ぶりにライブ配信へ復帰し、活動再開を報告した。
復帰配信では同じ2期生で親友の湊あくあが卒業を決めたことを受け、「今しか作れない思い出を残したい」と語っていた。
この発言からも、彼女が時間の有限性を意識しながら活動と向き合っていたことがうかがえる。
卒業発表に至るまでの経緯
活動再開から半年が過ぎた2025年3月6日、紫咲シオンはYouTubeチャンネルで「大切なお知らせ」というタイトルの配信を行った。
ファンの間では休止の再発表や体調に関する報告ではないかとの憶測も飛び交っていたが、配信冒頭で彼女は「4月26日をもってホロライブを卒業します」と宣言した。
この発表は公式サイトでも同日付でニュースとして公開され、卒業日やグッズ販売などの詳細が告知された。
卒業発表の理由について、紫咲シオンは配信内で「会社との方向性の違いが大きくなり、自分の理想と活動にギャップが生まれてしまった」と説明した。
長年活動する中で、ホロライブという大きな組織が急成長し、多くのプロジェクトに参加する機会が増えた一方、彼女自身がやりたいことや表現したいこととの間にズレが生じてきたという。
また、これまでの休止期間も自分を見つめ直す時間だったと振り返り、ファンやメンバーの支えに感謝しつつも、自分の納得のいく活動のために卒業を決断したと語った。
「卒業」と「配信活動終了」の違い
近年のホロライブでは「卒業」や「配信活動終了」という表現でメンバーが離れるケースが相次いでいる。
紫咲シオンは卒業発表の中で、「もう戻らないから卒業と表現している」と明言した。
配信活動終了とは、所属タレントとしての契約は残したまま配信活動をやめるケースを指すが、卒業は契約や所属そのものを終了する意味合いが強い。
彼女は戻ってこないものを待ち続けるファンが傷つかないよう、明確に線引きをしたかったのだと説明した。
この発言は過去に「卒業」後に復帰した例があるホロライブにおいて、ファンに余計な期待をさせないための配慮として大きな反響を呼んだ。
卒業理由と本音に迫る
配信で語られた卒業理由は「方向性の違い」であったが、この表現にはさまざまな解釈がある。
卒業発表後、IT系ニュースサイトやVTuber専門メディアが彼女の発言をまとめ、会社が求める活動スタイルと本人が実現したい表現やスケジュール感の乖離が原因と報じた。
ファミ通やカイユウの記事では、ここ数年でホロライブの規模が急拡大し、メンバーに求められる役割や仕事量が大きくなったことへの戸惑いがあったと紹介されている。
つまり、紫咲シオンはより自由度の高いクリエイティブな活動を望む一方、会社側はブランドの統一感や大型プロジェクトへの参加を求めていた可能性がある。
また、彼女は長時間配信や一部のプロジェクト参加に消耗した過去を振り返り、精神的な負担や体調不良も判断材料だったと述べている。
ファンの間では「方向性の違い」が最近卒業した沙花叉クロヱや湊あくあと同じ説明であることから、運営側の方針が大きく変わりつつあるのではないかという憶測も広がった。
しかしシオン本人は配信で「運営との喧嘩ではないし、辞めることが悪いことだとも思っていない」と述べ、円満な卒業であることを強調した。
彼女は「ずっと考えて悩んで、自分のやりたいことを大事にしたかった」と涙ながらに語り、多くの視聴者の共感を呼んだ。
ファンとメンバーの反応
卒業発表からわずか数分で「#紫咲シオン卒業」がXでトレンド入りし、国内外のファンから悲しみと応援の声が殺到した。
「シオンちゃんありがとう」「寂しいけど新しい道を応援する」といった投稿が相次ぎ、卒業発表のアーカイブ動画には数十万件のコメントが寄せられた。
ホロライブのメンバーもSNSや配信でそれぞれの思いを伝え、同じ2期生の百鬼あやめや癒月ちょこ、大空スバルは「これからも友達」と述べ、卒業後も関係が続くことを示唆した。
YAGOOことカバー社CEOの谷郷元昭氏は公式サイトとXで「長年支えてくれたシオンには感謝しかない。これからの活動を応援する」とコメントし、会社としても敬意を表した。
一方で、一部のファンからは「方向性の違い」という説明が曖昧だと感じる声や、卒業ラッシュへの不安を訴える意見も見られた。
2024年末から2025年初頭にかけて、湊あくあや沙花叉クロヱの配信活動終了、桐生ココや湊あくあの後輩世代の卒業などが相次いだため、ホロライブが変わってしまうのではないかという心配が広がった。
しかし、多くのファンは「個々の人生を尊重すべき」「本人が選んだ道なら応援したい」と理解を示し、卒業後の活動にも期待を寄せている。
卒業ライブ「#紫咲シオン卒業LIVE」の模様
2025年4月26日、紫咲シオンの卒業ライブ「#紫咲シオン卒業LIVE」がYouTubeでプレミア配信された。
配信は21時から約1時間半にわたり行われ、最大同時視聴者数は36万人を超えたと報じられている。
冒頭ではYAGOOが登場し、卒業証書を渡して感謝を伝えるサプライズ演出があり、チャット欄は祝福と涙の絵文字で埋め尽くされた。
ライブではオリジナル曲「メイジ・オブ・ヴァイオレット」「シャンデリア」「シンデレラ・マジック」「リア充★撲滅運動」「シオン」などを披露し、華やかなステージと映像演出でファンを魅了した。
特に卒業シングルとして4月26日にリリースされた「シオン」は、これまでの活動やファンへの感謝を込めた歌詞が涙を誘い、会場が一体となって盛り上がった。
ゲストには2期生や同期を代表して百鬼あやめ、癒月ちょこ、大空スバルが登場し、思い出話やメッセージを交換した。
さらに、配信活動を終了していた沙花叉クロヱがサプライズ出演し、先輩の門出を祝う姿が注目を集めた。
他にも多数のホロライブメンバーからビデオレターやボイスメッセージが届けられ、シオンと視聴者にとって忘れられない夜となった。
ライブ終盤、紫咲シオンは「ここまで魔法使いとしていられたのはみんなのおかげ。これからは魔法使いじゃなくても、違う形で夢をかなえていく」と感謝を述べた。
彼女は涙ながらに深いお辞儀をし、画面には「ありがとうございました」の文字と共にエンディングロールが流れた。
配信終了後、卒業ライブのハッシュタグは長時間トレンド上位に残り、関連グッズも完売する盛況ぶりだった。
卒業グッズと最後のシングル
卒業発表と同時に、ホロライブ公式ショップでは「紫咲シオン卒業グッズ」の販売が開始された。
ラインナップにはアクリルスタンドやぬいぐるみ、フォトブック、最後のシングルCDなどが含まれ、フルセット購入特典として直筆サイン入りポストカードが数量限定で付属した。
グッズの注文は公式ショップの他、海外向け通販サイトでも受け付けており、多くの国のファンが思い出の品を手に入れた。
卒業シングル「シオン」は卒業ライブ当日にリリースされ、メロディアスな楽曲と力強い歌声がファンの心に響いた。
歌詞には「また会える日まで」「思い出は消えない」といったフレーズが散りばめられ、6年半の活動を振り返りながら未来への希望を描いている。
この楽曲は音楽配信サービスでも配信され、各ランキングで上位にランクインした。
一方で、紫咲シオンとしてのYouTubeチャンネルやメンバーシップは7月26日まで限定公開された後、アーカイブの大部分が非公開となる予定が発表された。
ホロライブ卒業ラッシュと運営方針
紫咲シオンの卒業は、2024年後半から続くホロライブの卒業ラッシュの一環とも受け止められている。
2024年11月には4期生の湊あくあが卒業し、2025年1月にはholoXの沙花叉クロヱが配信活動を終了した。
また、ENやIDグループでも相次いで卒業や活動終了が発表され、ファンの間では運営方針への疑問や不安が高まっていた。
ホロライブを運営するカバー社は、卒業のたびに「本人の意向を尊重した結果であり、今後も多様な活動を支援していく」という声明を出している。
しかし、卒業ラッシュが続いたことで、会社とタレントの間に考え方の違いが生じているのではないかという憶測が広がった。
「方向性の違い」という表現が複数のタレントで使われたことから、ブランドの拡大と個々のクリエイティビティのバランス調整が課題になっていると見る声もある。
一方で、これらの卒業はVTuber業界全体の流動性が高まっている証拠でもあり、個人勢や他事務所への移籍などさまざまな道が開かれている。
今後のシオンはどうなるのか
卒業後の紫咲シオンは、ホロライブという肩書きを離れた状態で何をするのか注目されている。
配信内では具体的な活動計画には触れなかったものの、「またどこかで会えるように頑張る」と語っており、創作活動を続ける意欲を示した。
イラストレーターとしての活動や歌手活動、ゲーム制作への参加など、これまでの経験を生かした新たな挑戦が期待される。
VTuber界隈では卒業後に個人勢として再デビューしたり、別の事務所に所属したりする例が増えている。
紫咲シオンも「魔法使いではなくなるけれど、紫咲シオンとしての経験は消えない」と述べており、キャラクターとは別の名義で活動する可能性もある。
ファンの間では「復活する日を信じて待ちたい」という声と「彼女の選んだ道を尊重したい」という声が混在しているが、多くの人が彼女の才能を信じている。
卒業から数か月後、SNSでの近況報告やイラストの公開が行われるたびに数万件の反応が寄せられ、注目度の高さを裏付けている。
ホロライブに残るメンバーへの影響
紫咲シオンが卒業したことで、ホロライブ2期生は百鬼あやめ、癒月ちょこ、大空スバルの3人になった。
2期生は「ホロライブ黄金期」を支えた中心世代とも言われ、シオンの卒業は残るメンバーにとっても転機となる。
百鬼あやめは自身の配信で「シオンの分まで頑張る」と宣言し、癒月ちょこは医療現場で働く看護師資格を持つことを生かした健康相談配信を強化すると発表した。
大空スバルはMC力と運動神経を活かしたバラエティ企画への出演が増えており、2期生それぞれが新しい役割を模索している。
他期生とのコラボにも影響が出ている。
シオンが中心となっていた「アモアス部」や「マイクラ建築部」などの企画は継続するか不透明となり、新たなリーダーが必要となった。
また、シオンの卒業によって生まれた穴を埋めるべく、新人タレントがデビューするのではないかという噂もあり、ホロライブ全体の再編が進む可能性がある。
ファンは「寂しいけれど、新陳代謝があるからこそグループが長く続く」と前向きに捉える声も多い。
VTuber業界への広範な影響
紫咲シオンの卒業は、VTuber業界全体にも波紋を広げた。
大手事務所に所属する人気タレントが方向性の違いを理由に卒業したことは、他事務所のタレントや運営にとっても教訓となった。
クリエイターが自分のやりたいことを追求できる環境を整える重要性や、急成長するブランドと個人のバランスをどう取るかという課題が浮き彫りになったのである。
また、VTuberの「卒業」という概念がどのように定義されるべきかも議論を呼んだ。
かつては「引退」と言われることが多かったが、近年はアイドルや芸能活動にならって「卒業」という言葉が使われるようになった。
これはファンにとっては前向きな門出として受け止めやすい表現だが、事務所との契約形態や権利関係がどうなるのかについて透明性を求める声も上がっている。
今後のVTuber業界では、キャラクターIPの扱いや再利用のあり方がますます重要な論点となるだろう。
卒業から学ぶこと
紫咲シオンの卒業は、個人の夢や理想と会社の方向性とのギャップが生じたとき、どのように決断すべきかを示した例と言える。
彼女は休止と復帰を繰り返しながらも、自分の気持ちを偽らず、最後にはファンに直接理由を説明した。
長年にわたって支え続けたファンへの感謝を忘れず、同時に自らのやりたいことを追求する姿勢は、多くの人に勇気を与えた。
ホロライブという大きな組織で活動する魅力と難しさ、そしてVTuberとして生きる上でのストレスや葛藤が存在することも彼女の歩みから読み取れる。
卒業は決して終わりではなく、新しい物語の始まりであるというメッセージも強調されていた。
今後、彼女がどのような道を歩むのかは分からないが、応援し続けたいと思わせる誠実さがあった。
おわりに
紫咲シオンの卒業は、ファンにとっては大きな喪失であり、ホロライブにとっても節目となる出来事だった。
しかし、彼女は最後まで明るく前向きに未来を語り、卒業ライブでは笑顔と涙を交えながら感謝の気持ちを伝えた。
ホロライブという場所で培った経験と仲間との絆は、卒業後も彼女の財産となるだろう。
ファンは寂しさを抱えつつも、新しいステージで活躍する彼女の姿を見る日を楽しみにしている。
管理人のひとこと
最初に卒業発表を聞いたときは、本当に耳を疑った。
シオンちゃんといえば、デビュー当時から見ていた私にとってホロライブの象徴のような存在だった。
休止から復帰したばかりで、これからまた元気な姿をたくさん見られると思っていた矢先の卒業だったので、配信を見ながら気付けば泣いていた。
それでも、配信で彼女が語った言葉や卒業ライブで見せた笑顔を思い返すと、彼女らしい決断だったのだと納得する部分もある。
自分のやりたいことを貫くために新たな道を選び、ファンに対して正直に向き合った姿勢は本当にかっこいい。
これから先、別の名前や形であっても、彼女の創り出す世界に触れられることを心から楽しみにしている。
ファンとしては寂しさと期待が入り混じった複雑な心境だが、卒業を門出として心から応援したい。
今までたくさんの笑顔をありがとう、そしてこれからもずっと大好きです。
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