ホロライブのファンコミュニティでは、「まつりライン」という言葉がしばしば登場します。
これはホロライブ所属VTuber・夏色まつりさんに由来する俗称で、「下ネタ(性的な冗談)における許容範囲」を指すものです。
端的に言えば、「ホロライブ内で夏色まつりよりひどいことをしなければセーフ」というボーダーラインを表現した言葉です。
夏色まつりさんの奔放な言動がホロライブ全体の“ネタの濃度”を決定づけたことから、彼女の名を取ってまつりラインと呼ばれるようになりました。
まつりラインの由来と意味
夏色まつりさんは2018年6月にデビューしたホロライブ1期生で、当初より「ホロライブの清楚担当」を自称していました。
しかし皮肉にも、その活動内容は際どい下ネタや型破りな企画で知られるようになります。
例えば配信中に大量の水を飲んでトイレを我慢するというチャレンジ企画を行ったこともあり、これには視聴者も度肝を抜かれました。
また雑談やゲーム実況の中で、ふとした拍子に性的な冗談や過激な発言が飛び出し、コラボ相手のVTuberやリスナーが思わずたじろぐ場面も度々ありました。
こうした夏色まつりさんの大胆な振る舞いは、当時まだ成長途上だったホロライブにおいて際立って自由奔放なものでした。
事実、後輩ライバーの中でも下ネタ路線で知られる宝鐘マリンさんや博衣こよりさんでさえ、「まつりと比べれば健全」と評されるほどです。
つまり夏色まつりさんがホロライブ内の表現のボーダーを大きく押し上げてしまったため、「彼女よりエグくなければ大丈夫」という暗黙の基準が共有されるようになりました。
これがまつりラインと呼ばれる所以であり、言い換えるとホロライブにおける下ネタ許容度の天井を示す言葉なのです。
元々この言葉は、ホロライブメンバー同士の会話などで生まれたとされています。
「夏色よりひどいことをしなければ大丈夫」というフレーズがホロライブタレント間で語られ、それがファンにも伝わって定着したと言われます。
実際、夏色まつりさん自身も含めた1期生メンバーの対談の中で、「まつりラインがだんだんできていった」という表現が飛び出しており、この頃には既にまつりラインという概念が周知のものとなっていたことがわかります。
つまり由来としては、夏色まつりさんの型破りな行動への仲間内での評価が発端であり、それがホロライブ文化として定着したものだと言えるでしょう。
ファンや他ライバーの反応
夏色まつりの暴走によって形作られた「まつりライン」ですが、これに対するファンや他のホロライブメンバーの反応は概ね好意的かつ肯定的なものでした。
まず他ライバー、特に同僚のホロライブメンバーたちは、まつりさんの存在によって救われたり刺激を受けたりしたと証言しています。
1期生同期の白上フブキさんはデビュー当時を振り返り、「配信でここまで自分を出してもいいんだ。リスナーさんはついてきてくれるんだ」とまつりさんとのコラボを通じて実感したと語っています。
当初フブキさんは、自分のオタク気質な話題が受け入れられるか不安を抱えていたそうですが、遠慮なく自分をさらけ出すまつりさんの姿を見て「もっと自分を出していいんだ」と肩の力が抜けたとのことです。
同じく1期生のアキ・ローゼンタールさんも、「あそこまでアクセルを全開にしてあんなことやっていいんだ」とまつりさんの配信から学んだと語っています。
要するに、まつりさんがセーフティラインを徐々に押し上げてくれたおかげで、後輩や周囲のメンバーは「これくらいやっても大丈夫なんだ」と背中を押されたわけです。
ホロライブ全体の配信内容の幅が広がったのは、まつりさんの功績による部分も大きいといえるでしょう。
他のメンバーから見てもまつりラインの存在は明確で、フブキさん自身が冗談混じりに「まつりラインがだんだんできていったんだよね(笑)」と語っているほどです。
まつりさんの「やりすぎかも?」という言動も、「まつりよりマシならOK」という一種の安心感を周囲に与えていたようです。
実際、ホロライブメンバー間では「これはさすがにまつりライン超えでは?」などと冗談半分に話題に出ることもあり、夏色まつりさんが表現の天井として機能していた様子がうかがえます。
一方、ファンの反応についても見てみましょう。
夏色まつりさんのファンは総称して「まつりす」と呼ばれますが、そのまつりす達は概ね彼女の過激なノリを受け入れ、楽しんでいるようです。
アキ・ローゼンタールさんは「まつりちゃんのそういう言動に、ちゃんとリスナーさんが応えてくれるから、まつりちゃんもタガを外すことができる」と述べており、ファンと本人の間にしっかり信頼関係が築かれていることを示唆しています。
実際、まつりさんが突拍子もない下ネタを放り込むと、チャット欄は苦笑しつつも「待ってました」と言わんばかりのノリで反応するファンが少なくありません。
彼女の配信を日頃から見ているリスナーにとっては、「これが夏色まつり」というお約束の芸風として受け止めているのです。
もっとも、新規の視聴者や他所から来たVTuberファンの中には、最初こそその過激さに面食らう人もいます。
しかし不思議と嫌悪感より笑いが勝ってしまうのが、まつりさんの人徳とも言えるでしょう。
彼女の下ネタはあくまで場を盛り上げるためのサービス精神から来るものであり、決して誰かを傷つける意図のものではありません。
そのため、見ているうちに「またまつりちゃんがやってるよ」とクセになるファンが多いのです。
加えて、夏色まつりさんが自称していた「清楚担当」という肩書き自体が一種の内輪ネタとなっており、ファンからすれば「清楚なアイドルが下ネタ連発している」というギャップの面白さも相まって彼女を愛する理由になっています。
実際、2024年に行われた非公式wiki添削配信で、まつりさんは自身の語録(発言集)コーナーに並ぶあまりにセンシティブな名言の数々を見て「終わってるわ、言ったから仕方ない」と大笑いしつつ認める場面がありました。
コメント欄でも「事実なら仕方ない」「弁明の余地なし」といったツッコミが飛び交い、本人もファンもその下ネタぶりを含めてまつりという存在を楽しんでいる様子が伺えました。
このように、ファンにとってまつりさんの過激発言や型破りなノリは「待ってました」と思える愛すべき持ち味であり、まつりラインはホロライブ文化の中で笑って受け入れられるお約束となっているのです。
まつりラインとホロライブ文化の現在
夏色まつりさんがホロライブにもたらしたまつりラインという概念は、ホロライブ全体のコンテンツの幅を広げる一因となりました。
彼女のおかげで、後輩ライバーたちも「ここまでは許される」という一つの指標を得た形になり、各々が個性を伸ばしやすくなった側面があります。
実際、ホロライブ3期生以降には宝鐘マリンさんのように下ネタ上等のキャラクターも登場し、「セクシーお姉さん」路線や下ネタ混じりの大喜利など、多種多様な笑いが生まれています。
そうした後輩たちから見ても、夏色まつりさんはホロライブの道を拓いた先駆者であり、「まつり先輩があれだけやってきたんだから自分も遠慮しすぎなくていい」という安心感と自由を与えてくれる存在となっています。
もっとも、時代とともにホロライブを取り巻く環境も変化しました。
ホロライブが大きく知名度を伸ばし、世間一般にもVTuber文化が浸透するにつれ、配信プラットフォームの規制や企業としてのコンプライアンス意識も以前より高まっています。
夏色まつりさん自身、2021年前後からのコンテンツ規制強化の流れを受けて、露骨な下ネタ発言の頻度を減らしているとも言われます。
かつて毎配信のように飛び出していた下ネタも、現在では節度を保ちつつ時折サービス程度に放つスタイルへとシフトしている印象です。
実際、最近のまつりさんはアイドルとしてのパフォーマンスや後輩との健全な絡みも増え、初期のようなハチャメチャさ一辺倒ではなくバランスの取れたエンターテイナーへと成長しているように見えます。
しかし、それでもまつりラインが消滅したわけではありません。
夏色まつりさんが一度火付け役となって広めた「ここまではOK」という文化は、ホロライブ内に脈々と生き続けています。
彼女自身もノリの良さは健在で、コラボ企画などでここぞという時には昔ながらの下ネタギャグを炸裂させ、ファンを喜ばせています。
もちろんやりすぎない絶妙な匙加減で。
ホロライブというグループ全体を見ても、配信の空気を読む中で許されるラインを各メンバーが感じ取り、時に「ここから先はまつりライン超えかも?」と冗談を言い合える余裕と団結力が生まれているように思います。
まつりラインとは単に下ネタの限度を示すだけでなく、ホロライブらしい緩やかな自主規制とユーモアの象徴として機能しているのです。
総じて、「まつりライン」という言葉にはホロライブのおおらかな文化が表れています。
アイドルでありながら時に過激なネタで笑いを取る――そんな二面性をみんなが面白がり、受け入れていることこそ、ホロライブというコミュニティの懐の深さでしょう。
夏色まつりさんが築いたこの絶妙な許容ラインは、今後もホロライブならではの伝統として語り継がれていくに違いありません。
管理人のひとこと
夏色まつりさんの存在がホロライブの方向性に与えた影響は計り知れません。
清楚系アイドルという概念を良い意味でブチ壊し、面白ければアリの精神を浸透させた功績は大きいでしょう。
彼女のおかげでホロライブはより自由で個性豊かな集団となり、私たちファンも毎日ドキドキワクワクしながら配信を楽しめているのだと感じます。
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