ホロライブに所属するVTuberたちが近時、X(旧Twitter)上で「タグ荒らし」と呼ばれる迷惑行為の被害に相次いで遭っています。
タグ荒らしとは、本来ファン同士の交流や応援に使われるハッシュタグに対し、悪意あるユーザーが無関係・大量の投稿を行うことで検索機能を麻痺させたり、本来の投稿を見えなくしたりする行為です。
この問題はホロライブ全体に広がりつつあり、先日話題となったロボ子さんの事例を含め、複数のメンバーが被害を受けました。
本記事では、ホロライブにおけるタグ荒らしの現状や具体的な事例、その影響と対処策について、公式発表や関係者の発言をもとに中立的な視点で整理してみます。
ロボ子さんのハッシュタグが機能停止に:最近の事例
2025年6月上旬、ホロライブ0期生のVTuber・ロボ子さんが自身のXアカウントでファンに向けた注意喚起を行いました。
彼女は「⚠注意喚起とお願い⚠」と前置きした上で、「捨て垢を用いてハッシュタグで大量のポストを投稿して機能させなくする荒らしが多発しています」と報告しています。
つまり、新規作成の使い捨てアカウント(捨て垢)から特定のハッシュタグを含む大量の投稿を投下し、そのタグに関連する通常の検索結果を機能不全に陥らせる迷惑行為が確認されたということです。
実際ロボ子さんは、自身のファンアートタグ「#ロボ子Art」を例に挙げ、「Yahoo検索でしか確認できない」「推しのタグやエゴサ検索結果が全然出てこない場合、荒らされているか確認して協力を呼びかけてほしい」と呼びかけました。
ロボ子さんの報告によれば、この荒らし行為のせいでX上の通常検索では彼女のハッシュタグにおいてある時期以降の投稿が一切表示されない状況が生じていました。
タグがスパム投稿で埋め尽くされると、プラットフォーム側の自動フィルタリングにより本来の投稿が隠れてしまう現象と考えられます。
ロボ子さんは非常手段としてYahooリアルタイム検索や検索フィルターを用いれば投稿が見られると示唆しつつ、「相当迷惑している」と心情を吐露。
ファンに対しては荒らしアカウントの通報とブロックを行うよう強く促しました。
さらに彼女は、もし推しのタグが「全然出てこないな?」と思ったら、同様の荒らし被害に遭っていないか確認し、ファン同士で協力して対処してほしいと提案しました。
この注意喚起ツイートに対し、多くのファンから賛同や怒りの声が寄せられています。
「このハッシュタグ荒らし、明確な攻撃意図とみなせるのでスパム報告だけでなく『攻撃的な行為や嫌がらせ』として多重通報すべき」と具体策を示す意見や、「嫌がらせ犯に成功体験を与えてはならない。次の標的はあなたの推しかもしれない」と警鐘を鳴らす声も見られました。
実際ロボ子さん以外にも複数のホロライブメンバーが同様の被害を受けており、コミュニティ全体で対策に乗り出す必要性が認識されています。
広がる被害:他メンバーのタグ荒らし事例
ロボ子さんのケースと時期を前後して、他のホロライブタレントのハッシュタグも次々と荒らし被害に遭っていることが確認されています。
例えばホロライブ5期生の雪花ラミィさんは、2024年12月11日~12日にかけて長年使用してきたファンアートタグ「#LamyArt」を荒らしの標的とされました。
ラミィさんの場合、ある人物が「ヒミツ@hhimitsudayo」というアカウント名で出現し、タグ「#LamyArt」を付けた200件以上のAI生成イラストを短期間に投稿するという手口でした。
この大量投稿によってタグがシステム上スパム扱いされたのか、以降ファンアートタグで過去の投稿も含め検索しても表示されないという深刻な影響が出ました。
ファンからは「一人のエゴでタグが完全に機能不全に陥って地獄」「簡単にタグを破壊できてしまうなんて恐ろしい」といった悲鳴が上がりました。
雪花ラミィさん本人もこの事態をサブアカウントで察知し、「え、なにどゆことファンアートが吹き飛んでるんだけど」「は?荒らし?おいFA描いてくれた絵師さんに謝れよ」と怒りを露わにしました。
さらに問題の荒らしアカウントの投稿を引用して「OK通報ブロックな。」とフォロワーに呼びかけ、迅速に運営にも報告したことを明かしています。
怒りのあまり語気が荒くなり「不快に思った方はごめんね」とファンに詫びる一幕もありましたが、ラミィさんは「また同じことがあれば運営さんに対応してもらいます」と述べ、毅然とした姿勢で再発時には法的措置も辞さない構えを示しました。
結局ラミィさんのファンアートタグ「#LamyArt」は使用中止を余儀なくされ、急遽新たなタグ「#らみあーと」へ移行する事態となりました。
彼女はメインアカウントで「タグ変わってます!お手数ですがこちらでファンアート投稿して頂けると嬉しいです」とファンに周知し、長年親しまれた英字タグからひらがなタグへ切り替える苦渋の決断をしています。
これはファンアート文化を守るためとはいえ大きな痛手であり、本来得られるはずだった過去の蓄積や検索性が失われてしまいました。
被害はラミィさんだけではありません。
同時期にはホロライブ6期生沙花叉クロヱさんのファンアートタグや、ホロライブ2期生紫咲シオンさんのファンアートタグでも、検索結果に最新投稿が出てこなくなる現象が確認されています。
実際に「沙花叉のFAタグが荒らされていて、もしやと思って調べたらシオンちゃんのファンアートタグも吹き飛んでる…」というファンの報告があり、ロボ子さんの件と同様に複数のタグが一斉に機能不全へ陥っていたことが伺えます。
またホロライブ4期生天音かなたさんの配信企画タグ「#天界学園放送部」も荒らしにより同様の機能不全に陥ったとされ、ファン有志がYahoo経由で荒らしアカウントを特定し注意喚起する事態となりました。
このようにタグ荒らし被害はホロライブ全体で広がりを見せている状況です。
被害者となったタレント側の精神的負担はもちろん、ファンアートなど二次創作を楽しみにしているファンコミュニティにも大きな損失と言えます。
特にファンアートタグはVTuberとファンを繋ぐ大切な交流の場であり、それが一方的な荒らしによって壊されてしまうことに多くの人が強い危機感を抱いています。
荒らしの手口と動機:何が目的なのか?
タグ荒らしを行う者の手口は大きく二通り考えられます。
一つはアンチによる嫌がらせ目的のケースで、複数の捨て垢やBotを駆使して無差別にハッシュタグをスパム投稿で埋め尽くす手法です。
ロボ子さんやかなたさんの事例では、誰が見ても無関係な大量投稿によってタグそのものを使えなくする悪質な嫌がらせでした。
この場合、投稿内容自体には特定の意味はなく、単にタグ機能の破壊が目的だと考えられます。
もう一つは表向きはファンを装った身勝手な要求型のケースです。
雪花ラミィさんの「#LamyArt」荒らしを行った人物がこれに該当します。
彼は自身の投稿や後の弁解で、荒らし行為の理由は「公式サイトに雪花ラミィの新衣装の全身画像や差分が掲載されていないことへの不満」だと述べました。
要するに「ファンアート制作者の参考資料として、新衣装の細部まで分かる画像を公式が公開すべきだ」という主張で、1年以上対応されない鬱憤から非常手段に及んだと語っています。
さらに彼は「本当はこんな面倒なことしたくないが、クリエイターのためを思ってやむなく悪役になった」などと正当化しました。
しかしラミィさん本人が別途説明したところによれば、問題の衣装はアクセサリー扱いの上着だったため公式プロフィールに載せていなかっただけのようです。
そもそもファンのためと言いながら当の本人や他のファンに多大な迷惑をかける行為は本末転倒であり、SNS上でも「主張するのは自由だけど迷惑行為するのは違うだろ」「本人が嫌がることをするのはファンじゃない」など厳しい批判が相次ぎました。
結果的にヒミツ氏は投稿の大半を削除し、「迷惑をかけたことは申し訳ないと反省しております」と謝罪めいたコメントを出しましたが、肝心の主張自体は「タグが変わっても公式対応があるまでやめない」と翻さず、自己中心的な動機に対する非難が収まることはありませんでした。
このように、タグ荒らしの動機は純粋な嫌がらせから歪んだ正義感じみたものまで様々ですが、いずれにせよ被害を受ける側にとっては甚大な迷惑行為である点に変わりはありません。
一部では「Xの仕様変更で一度タグを荒らされると、荒らしアカウントをブロックしても他の投稿が消えたままになる」といった指摘もあり、現行のプラットフォーム仕様が荒らし行為を許容してしまう面も問題視されています。
実際、ラミィさんの件ではタグ荒らし発生後に「インプレッション稼ぎ」のスパムアカウントが群がり、便乗する悪ふざけ投稿が相次ぐ二次被害も発生しました。
専門家の一部からは「大量の無関係投稿によってファン活動を妨害する行為は威力業務妨害にあたる可能性がある」との指摘も出ています。
コミュニティの善意を逆手に取ったこうした暴挙に、ファンも運営も頭を悩ませているのが現状です。
タグ荒らしへの対処策:運営の姿勢とファンにできること
ホロライブ運営元であるカバー株式会社も、この種の荒らし行為を含む誹謗中傷・営業妨害に対して対策を強化しています。
公式発表によれば、同社は2024年に年間252件もの誹謗中傷や権利侵害行為に対応し、その中には悪質な荒らし行為も含まれています。
法務・弁護士チームが協議の上、特に悪質なケースには発信者情報の開示請求や法的措置を実施しており、既に裁判手続き中や示談交渉中の事案もあるといいます。
また2022年末には競合他社ANYCOLOR社(にじさんじ運営)との連携も発表し、両社でノウハウ共有しながら誹謗中傷や荒らしへの対処を進める姿勢を打ち出しました。
実際ANYCOLOR社は、Twitter上でライバーのハッシュタグを悪用してグロ画像を投稿していた荒らしアカウントに対し、裁判所経由で情報開示を勝ち取りました。
今後営業権侵害や業務妨害で損害賠償請求・警察への告訴も検討すると表明しており、企業としても法的措置を辞さない強い姿勢を見せ始めています。
ストリーミング業界では荒らし行為者に対して示談金100万円を支払わせた例すら登場しており、タグ荒らしも悪質な場合はこうした対応の対象となり得ます。
匿名だからといって安心はできず、現実の法的責任を問われる可能性があることを念頭に置く必要があります。
もっとも、法的措置には時間がかかるため、即時の被害拡大防止策はファンとコミュニティの協力が鍵となります。
ホロライブ非公式Wikiの「配信視聴時の注意事項」にも「荒らし行為を見かけても反応しない。ブロック&通報で無視しましょう」と明記されています。
まずはファン一人ひとりが落ち着いて対処することが大切です。
タグ荒らしの投稿を見つけた際は、決して引用RTや返信で相手を煽ったりせず、速やかにブロックしプラットフォームの規約違反報告機能で通報してください。
特にTwitterの通報カテゴリでは「スパムである」だけでなく「嫌がらせ目的である」といった複数の観点で報告を重ねることで対応されやすいとも言われています。
また複数人が通報することでアカウント凍結などの措置が取られる可能性も高まりますので、ファン同士で協力して呼びかけ合うことも有効です。
併せて、ホロライブ運営の公式窓口も活用しましょう。
カバー株式会社の公式サイトには専用の通報フォームが設置されており、所属タレントに対する誹謗中傷や荒らし行為を確認した場合に情報提供ができます。
実際ロボ子さんのハッシュタグが荒らされた際にも、有志のファンがCover公式の通報フォームへの報告方法を共有し、「ファンの声が力になります。ご協力お願いします」と呼びかけていました。
企業側もファンからの報告を受けて動く準備はありますから、被害を黙って見過ごさず速やかに情報提供することが大事です。
さらに技術的な応急処置として、代替ハッシュタグの用意も有効です。
ロボ子さんは荒らし発生後、急遽「#みてみてろぼろぼ」という新ハッシュタグを提案し、ファンアート投稿の避難先としました。
同様にラミィさんも「#らみあーと」への切替えを行い、大きな混乱を抑えることができました。
タグ荒らしが発生すると元のタグは長期間まともに使えなくなる可能性が高いため、早めに公式・ファン間で合意のうえ新タグへ避難することも検討すべきでしょう。
無論、元のタグが本来持っていた認知度や思い出も大切ですが、コンテンツを守るために一時的・永久的な変更もやむを得ない場合があります。
最後に、ファンとして心得ておきたいのは「荒らしに屈しない」姿勢です。
前述の通り「荒らしに成功体験を与えてはならない」という指摘があるように、彼らの目的は注目を浴びることやコミュニティへの嫌がらせです。
もしファンが感情的に反応してしまえば思う壺であり、さらに荒らし行為を助長しかねません。
幸いホロライブの多くのファンは冷静で、タグ荒らしに直面しても粛々と通報・ブロックを行い、自衛策を講じています。
タレント側もファンとの交流の場を守るため積極的に声を上げていますから、双方が協力し合うことで健全な環境を取り戻せるはずです。
おわりに:健全なファンコミュニティのために
ホロライブにおけるタグ荒らし問題は、インターネット上のコミュニティが避けて通れない課題の一つとなっています。
しかし、ファンとタレントが手を取り合い毅然と対応することで、被害を最小限に留めつつ楽しい交流の場を守ることが可能です。
運営企業も法的措置を含む対策に乗り出しており、プラットフォーム側の改善要求も含めた長期的な解決策が模索されています。
一人ひとりのファンがモラルを持って適切に行動すること、そして悪質な行為には断固たる姿勢で望むことが、健全なVTuberコミュニティを維持する鍵と言えるでしょう。
今後もホロライブをはじめVTuber文化を応援する全ての人々が安心して活動できる環境づくりに向けて、引き続き声を上げていくことが求められています。
管理人のひとこと
私自身もファンアートや感想投稿を楽しみにしているリスナーの一人として、こうした荒らし行為が配信者やファンの交流の場を壊してしまうことに強い危機感を抱いています。
もちろん、ファンの考えや意見の表明は自由ですが、それが他者の活動を妨げる形で行われるのであれば、それはもはや応援とは呼べないと思います。
ホロライブという場が、タレントにとってもファンにとっても安心して活動できる空間であり続けるために、私たち一人ひとりの行動が問われているのかもしれません。
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