ホロライブが、ついに原宿に出てきました。2026年4月24日(金)、東急プラザ表参道「オモカド」4Fに「hololive production official shop in Harajuku」がオープン。兎田ぺこらの等身大フィギュア展示や、ソニーの空間再現ディスプレイによる裸眼3D映像など、いかにも「原宿らしい体験型コンテンツ」を前面に出した出店です。
ただし、報道で「旗艦店オープン」と書かれているわりに、実態はキデイランドの新店舗「オモカド店」のなかにある6つの専門店のひとつ。これがちょっと面白い構造で、ミッフィー、初音ミク、Esther Bunny、Sonny Angel、SECRETARIUMといった「Kawaii into the Future」をコンセプトにしたキデイランド新業態の主要テナントとして入居している、というのが正確な姿です。ホロライブが「キデイランドの隣のミッフィーの隣」に並ぶ──これだけで、原宿出店の戦略意図はだいたい見えてきます。
立地と「キデイランドのなかの専門店」という構造
所在地は東京都渋谷区神宮前4-30-3 オモカド4F。営業時間は11:00〜20:00、面積は約23.77坪(約78.44㎡)。アクセスはJR原宿駅から徒歩4分、東京メトロ千代田線・副都心線の明治神宮前駅からなら徒歩1分という、神宮前交差点のど真ん中。インバウンド客の動線がアジア・欧米問わず濃い立地です。
特徴的なのは、ホロライブショップが単独路面店ではないことです。同じ4Fフロアに新装オープンした「キデイランド オモカド店」(約497.21㎡/約150.66坪)は、「Kawaii into the Future」というコンセプトのもとに6つの専門店を集めた新業態。具体的には、miffy style 原宿店(27.4坪)、hololive production official shop in Harajuku(23.77坪)、Esther Bunny Lovely Store(16.79坪)、SECRETARIUM(15.86坪、キデイランド新業態のシークレットボックス)、SONIANDSMI ANNEX(Sonny Angel/SMISKI、7.54坪)、初音ミクストア in 原宿(6.95坪)の6本立てです。
つまりホロライブは、「ミッフィーや初音ミクと同じ並びにいる」状態で原宿に立っているわけです。これが男性オタク文化の聖地である秋葉原ではなく、原宿のキデイランド業態に入ることの意味──つまり、メインのリーチ先として「Kawaii好きな女子層」「アジア・欧米のインバウンド観光客」を明確に取りに来ている、というメッセージとして読めます。
ぺこら等身大フィギュアは「2023年の日本人形」の再展示
オープン記念の目玉として打ち出されているのが、4月24日〜5月31日の期間で展示される兎田ぺこらの等身大フィギュアです。各メディアの「等身大」「裸眼3D」のキーワードで取り上げられている目玉ですが、ここはちょっと注意が必要です。
このぺこら等身大フィギュアは、2023年の「全人類兎化計画」のために制作された日本人形仕様のフィギュアを再展示したもの。吉徳×デザインココ×松竹衣裳×一凛堂という、伝統工芸の本気布陣で制作されたフィギュアで、初公開は2023年1月にアニメイト秋葉原店でした。今回の原宿展示は新作ではなく、日本人形姿(着物姿)のあのフィギュアが、改めて原宿のショップに出張してきている形になります。
このあたり、各種メディアの見出しからは「ぺこらの新作等身大フィギュア」と読めてしまうので、現地に行ったら「あれ?2023年の日本人形姿のあのフィギュアか」とわかった上で楽しむのが正解です。ちなみに、原宿描き下ろしイラストではぺこらは原宿らしいカラフルポップ衣装で別途登場しているので、フィギュアとイラストでテイストが2系統並んでいる状態。文脈を知っていると逆に面白い見せ方になっています。
ソニー空間再現ディスプレイ──登場するのはぺこら、フワワ、モココ、ヴィヴィの4人
もうひとつの目玉が、ソニーの「Spatial Reality Display(XYNブランドの空間再現ディスプレイ)」を使った裸眼3D映像視聴ブース。専用ゴーグルなしで、画面の向こうに立体的なホロメンが見える、というやつです。1日の視聴人数に制限あり、ということなので、ピーク時は混雑必至。
登場するのは4名固定で、兎田ぺこら(ホロJP3期生)/フワワ・アビスガード(hololive English Advent)/モココ・アビスガード(hololive English Advent)/綺々羅々ヴィヴィ(hololive English Justice)。──このラインナップが、原宿出店の戦略を露骨に表しています。JP勢からはぺこら1人、残り3人はEN勢の新世代という構成。EN勢の海外人気を取り込みつつ、訪日インバウンドの英語圏ファンに刺さるラインを揃えた、と読むのが自然です。
裸眼3D映像をホロライブが取り入れるのは、メタバース路線(ホロアース)とは別軸の物理体験コンテンツとして地味に重要なポイントです。「現地に来ないと体験できない」付加価値を、店舗そのものが持つようになる方向への投資。ぺこらだけ頭が抜けて目立つラインナップの中で、フワワ・モココ・ヴィヴィを混ぜたあたり、海外勢のキャラを「立体で見られる場所」を国内に置いた、という意義もあります。
描き下ろしイラスト10名、Chibi 3名──JP古参はほぼ不在
原宿限定の「Harajuku Original」描き下ろしイラストは、参加メンバーが10名固定。① 兎田ぺこら(ホロJP3期生)、② ラプラス・ダークネス(holoX/6期生)、③ こぼ・かなえる(ID3期生)、④ フワワ・アビスガード(EN/Advent)、⑤ モココ・アビスガード(EN/Advent)、⑥ 響咲リオナ(DEV_IS/FLOW GLOW)、⑦ 虎金妃笑虎(DEV_IS/FLOW GLOW)、⑧ 水宮枢(DEV_IS/FLOW GLOW)、⑨ 輪堂千速(DEV_IS/FLOW GLOW)、⑩ 綺々羅々ヴィヴィ(EN/Justice)。
もう片方の「Harajuku Chibi Style」は3名で、角巻わため、ベスティア・ゼータ、IRyS。原宿らしい色彩やスイーツをコンセプトにしたChibiデザインです。
注目したいのは、JP古参勢がほぼ不在という点です。3期生はぺこら1人、4期生・5期生・1期生・2期生の主力勢(マリン、スバル、フレア、ノエル、すいせい、星街勢など)が選から漏れている。代わりに枠を取っているのがDEV_IS/FLOW GLOWから4人、EN新世代から3人、ID/holoXから1人ずつという構成です。これは、現状のホロライブ運営が原宿出店に乗せたい「伸ばしたいライン」がどこなのか、けっこうハッキリ見える人選になっています。
「アイドル化」議論──秋葉原派 vs 原宿派、というより顧客層の拡大
ファン層の議論として、必ず出てくるのが「秋葉原派 vs 原宿派」のフレーミングです。ただ、ここで一つ事実確認しておくと、秋葉原に「ホロライブ公式ショップ」は実は存在しないのです。GAMERS本店、アニメイト秋葉原本館、ラジオ会館、atré akihabaraなど、複数の取扱店でグッズが買えただけで、公式ショップとしては東京駅一番街、大阪梅田、メタバース内(ホロアース)、そしてオンラインの4本柱で運営されてきました。
そして東京駅店は2026年4月12日でいったん閉店し、4月17日から仮設の場所で営業継続中、本格オープンは2026年秋に予定されています。つまり原宿が開いたタイミングは、東京駅店が仮運用に入ったタイミングと重なっており、「東京駅から原宿への動線置き換え」に近い再配置になっています。秋葉原は文化的にホロライブが「アイドル」として認知された出発点(2020年atre秋葉原コラボなど)として重要ですが、公式ショップの軸は今のところ秋葉原から外れている、というのが現実。
その上で、原宿出店が「アイドル化」「メイン顧客層変化」と語られる理由は、立地そのものの読み方にあります。キデイランド・ミッフィー・初音ミク・Esther Bunnyと同じフロアで売ることは、男性中心のオタク文化から、女性層・観光客層・ファミリー層へのリーチを取りに行く明確な姿勢の表明です。これが「アイドル化の次フェーズ=ファッション/メインストリーム化」と呼ばれているわけで、議論の中心はそこにあります。
原宿×渋谷の「ホロ巡礼ルート」化と、4月後半の発表ラッシュ
原宿出店をひとつの動きとして見たとき、渋谷〜原宿エリア全体がホロライブの巡礼ルート化している現状も無視できません。SHIBUYA TSUTAYA IP書店ではFUWAMOCOの等身大フィギュア「渋谷の番犬」が常設、HMV&BOOKS SHIBUYA、Tower Records Shibuyaでもホロ関連の取扱が定着。明治神宮前〜原宿〜渋谷の徒歩圏が、訪日ファンにとっては「半日コース」を組める密度になりつつあります。
そしてこの原宿開店は、4月後半の発表ラッシュの文脈にも乗っています。4月20日にはhololive English 4th Concert -Serendipity-のロサンゼルスShrine Auditorium公演(7/3-4)が発表、4月27日にはhololive Meet 5周年の新アンバサダー(角巻わため、Iofifteen、Gigi Murin、輪堂千速)が発表、4月29日には秘密結社holoXの初リアル単独ライブ「First MISSION」が控えている。──この一連の流れの中で、「物理拠点としての原宿」を抑えに来たというのが、今回の出店の位置づけです。
裏を返すと、「ホロライブはオワコン」論を真っ向から殴り返す物量で動いている、ということでもあります。23.77坪は規模としては実は小さいですが、「どの立地に・どの顧客層を意識した店を出すか」という戦略の意味で、原宿出店は2026年のホロライブを象徴する1ピース。海外コンサート、海外メディア展開、新人デビュー、リアル拠点拡大──あらゆる方向への投資を同時並行で進めている時期だ、という解像度で見ると、見え方がクリアになってきます。
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管理人のひとこと
正直、「ホロライブが原宿のキデイランドのなかにある」という絵面が、いちばん象徴的だと思いました。秋葉原派 vs 原宿派みたいな対立を煽るより、ミッフィーや初音ミクと並んで売られているという事実こそが、ここ数年のホロライブのポジション変化を一番素直に見せています。
個人的には、ぺこら日本人形フィギュアの再展示が地味にうれしいタイプです。2023年に秋葉原で見た人もそろそろ少なくなってきたタイミングで、原宿に持ってきて「再評価枠」として置く運用は、運営の文脈の作り方として上手い。GW〜5月末あたりで原宿に行く予定があれば、ふらっと寄ってみる価値はあります。
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