【悲報】ホロアース6/28サ終、カバー約32億円減損…谷郷CEO「色々やりすぎた」自省の中身

カバー株式会社のメタバースプロジェクト「ホロアース」が、2026年6月28日(日)21:00をもってサービス終了することが、5月14日に発表されました。同日の決算説明会では、谷郷元昭CEOが「色々やりすぎた」と自省し、ホロアース関連ソフトウェア資産約32億円を特別損失として減損計上したことも明らかに。2025年4月24日の正式リリースから、わずか1年2か月での幕引きです。

2021年10月の構想発表から数えれば、開発期間は4年半。アニメPV、サンドボックス、バーチャルライブ、クリエイターマーケット、タレント降臨イベント……盛り込まれた要素は多岐にわたりましたが、その全てが6月28日21時に閉じられます。カバー社が掲げる「選択と集中」方針のもと、ホロアースは「中核から外れた事業」と位置づけられました。本記事では、終了スケジュール・財務インパクト・5年間の歴史・そして本当に何が起きていたのかを、公式発表と決算説明会の発言ベースで整理します。

「2026年6月28日21時、終了」── 公式発表の中身

カバー株式会社が5月14日に公開した「【重要】サービス終了のお知らせ(ホロアース)」によると、サービス完全終了は2026年6月28日(日)21:00(JST)。ただし機能停止は段階的に進行しており、5月14日の発表と同時に有償ホロコインの販売とマーケットプレイス機能はすでに停止済み。続いて6月3日23:59に公式有償アイテム・クリエイターアイテムの販売が停止、6月28日21時の完全終了で5年弱のサービスが幕を閉じる流れです。

払戻し対応も同時に告知されています。未使用の有償ホロコインとクリエイターポイントについては、申出受付が2026年6月29日12:00から9月30日12:00まで。クリエイター向けの支払調書ダウンロードは2027年5月31日12:00まで利用可能で、問合せ窓口は holoearth.zendesk.com に集約されています。ユーザー保護の段取りは整っているものの、「終わる」という事実は変わりません

プロジェクト責任者であるカバー取締役CTO・福田一行(IKKO)氏のコメントには、こうあります。「これまで応援してくださった皆様のご期待にお応えできなかったこと、プロジェクトの責任者として、心よりお詫び申し上げます」「ホロアースを通じて培ってきた技術や挑戦は、これからのホロライブプロダクションの取り組みの中にも活かされ、新たな体験へとつながっていくものと考えております」。明確な謝罪と、技術資産の継承宣言が同居する文面です。

カバー約32億円の減損計上、決算を直撃

同日発表されたカバー株式会社の2026年3月期通期決算は、売上高493億3,000万円(前期比+13.7%)、営業利益70億5,600万円(前期比△11.8%)、当期純利益30億1,600万円(前期比△45.7%)。売上は二桁成長を維持したものの、純利益は前期比でほぼ半減という結果でした。

純利益急減の主犯は明確で、ホロアース関連ソフトウェア資産の減損損失 約31億9,900万円。さらに低回転在庫の除却・評価減 約18億円も売上原価に乗っており、両者で約50億円の一過性コストが利益を圧迫した格好です。ホロアース1件で会社全体の純利益が半減するインパクト──これだけでも事業規模の重さが分かります。

役員報酬の自主返納も同時発表されました。谷郷元昭代表取締役社長CEOと福田一行取締役CTOの2名が、月額基本報酬の20%×2か月分を返納。役員報酬返納は上場企業として「経営判断の責任を可視化する」象徴的アクションで、選択と集中の宣言とセットで打たれた形です。市場の反応も早く、5月15日の株価は一時1,323円まで急落しましたが、自己株式取得300万株・30億円上限の同時発表が支えとなり終値1,466円で買い戻し。5月22日には1,832円の戻り高値を付けています。

谷郷CEO「色々やりすぎた」── 自省の中身を読む

5月14日のメディア向け決算説明会で、谷郷CEOはホロアースについて率直に振り返りました。要旨を整理すると──「ライブやゲームなど、いろんな要素を盛り込んでしまった。ライブに絞れば可能性があったかもしれない」。アバター、サンドボックス、ファッション、マーケットプレイス、アニメPV、ホロメン降臨イベント、クリエイター経済圏。一つ一つは面白いアイデアでも、同じプロダクトに同時搭載した瞬間に焦点が拡散した──谷郷氏自身がそう認めた形です。

もう一つの自省は、タレント側への配慮不足。「タレント側には、ホロライブの通常配信とホロアースという二つの選択肢が生じてしまい、やはり大変だった」と語っています。通常のYouTube配信に加えてホロアース内イベントの出演依頼が乗ってくると、タレント1人あたりの稼働選択肢が増え、スケジュール調整の負担も増す。タレントの時間と健康こそが最優先という現在の「タレントファースト」方針から見れば、ホロアースは矛盾する存在だった、という整理です。

そして最後の自省が一番重い。「重要プロジェクトだったが十分にコミットできなかった。社運をかけるようなプロジェクトをやるのであれば、自身が事業責任者として立つべきだった」。CEOが自ら旗を振らなかったことが致命傷だった、という認識です。福田CTOが現場責任者として奮闘していたのは事実ですが、「カバー社の柱事業」として位置付けるなら、CEO直轄であるべきだった──この後悔は、4月以降のホロスターズ運営体制変更(谷郷CEO自らがタレントマネジメント部門の直轄責任者に就任)にもつながっている発言です。

ホロアース5年の歴史 ── 構想からサ終まで

ホロアースの源流は、2021年2月17日の「ホロライブ・オルタナティブ」発表にあります。アニメMVのお披露目と共に「異世界創造プロジェクト」として打ち出された構想で、谷郷氏は同年noteで「VTuberプロダクションに留まらず、メタバース開発やメディアミックス展開に取り組む」「誰もが二次元キャラクターとしてオンライン上で生活できるサービスを開発」と高らかに宣言していました。Facebookが社名をMetaに変更した2021年10月とほぼ同時期で、世界的なメタバースブームと完全に同期した立ち上げでした。

その後の開発は段階的に進みます。2022年6月のデモ版体験会、12月のプロトライブ、2023年11月のシミュレーションルーム実装、2024年5月のオルタナティブ・シティ実装、12月の大規模オープンフィールド実装。3年以上のβ期間を経て、2025年4月24日にVer.1.0.0として正式リリース。WIT STUDIO制作のアニメPVが公開され、ホロアースマーケットプレイスも同時オープンし、これでようやく「カバー第2の柱事業」としてのスタートラインに立ったかに見えました。

正式リリース後はエリア追加が相次ぎます。フォーカル・スクエア、魔界ジオ、城塞都市ウェスタ、キョウノミヤコ、セレスティアル・ビーチと、5か月で5つの新エリアを開放。コンテンツ投入のスピード感は確かにありました。ただし、各種記事の現地レポートでは「他のユーザーとすれ違うことがあまりなく閑散」「PC専用なのでスマホ中心のホロライブ視聴者層と乖離」といった指摘が並んでいます。ハコは大きいが人がいない──これが正式リリース後の率直な実情でした。

「コウゾー」NPC炎上事件 ── 決定打になったかもしれない

2025年11月下旬、ホロアース内に登場したNPC「コウゾー」をめぐる炎上事件は、プロジェクトの先行きに大きな影を落としました。元受刑者を連想させる設定と発言があるNPCとして一部ユーザーから指摘が上がり、SNSで急速に拡散。カバー社は11月26日のアップデートで該当NPCを削除し、12月8日には「意図して制作された事実はない」と改めて釈明する事態に追い込まれました。

この炎上の直接コストとして、タレント出演イベント2件が開催延期に。「ハコの中身が薄い」と言われ続けていたホロアースが、ようやくタレント出演で集客のテコ入れを図ろうとした矢先のキャンセル。勢いをつけるべきタイミングで足を引っ張った形になりました。

5月14日の発表でカバー社は「コウゾー事件が終了判断の引き金」とは明言していません。ただ、構造的には「チェック体制の甘さ」「タレントを巻き込むリスク」「ファンとの信頼関係への打撃」──ホロアースが抱えていた潜在課題を一気に表面化させた事件であったことは事実です。サ終判断を後押しした材料の一つとして位置付けるのが妥当でしょう。

ホロスターズ縮小と並ぶ「選択と集中」の象徴

5月14日の決算説明会で谷郷CEOが繰り返し使ったキーワードが、「選択と集中」「タレントファースト」。経営資源を、①優れたタレントの支援、②カバー独自技術、③新人発掘・育成 ──の3点に集中投下するという方針です。これはそれ以外の事業はスリム化するという宣言と同義で、4月に発表されたホロスターズの運営体制変更と一直線上にあります。

ホロスターズについては、4月3日の運営体制変更発表に続き、5月26日には花咲みやび・岸堂天真・律可・アルランディス・水無世燐央・影山シエン6名の活動終了が発表(6/8〜7/5に順次卒業)。谷郷氏自身が「早すぎた事業拡大」「女性タレントの成功体験を過信して同スキームを適用した」と反省を述べており、男性Vtuber事業の根本的見直しが進行中です。

ホロアース終了は、このホロスターズJP縮小と「並ぶ」象徴です。両方とも、「拡張期に手を広げすぎた事業の畳み込み」として整理できます。一方で2026年5月8日には新プロジェクト「mekPark(メクパーク)」が始動。練習生3名+ディレクター1名によるユニット育成プログラムで、最長2年でデビューを目指す仕組みです。ANYCOLORの「VTA」に対抗する育成の厚み強化──「捨てる」と「拾う」が同時進行しているのが、カバーの現在地です。

ファンの反応 ── 「終わるなら早く言ってくれ」と「いい場所だった」

5月14日の発表後、X上のファン反応はおおむね3つの方向に分かれました。一つ目は純粋な惜別。「ねぽらぼライブが楽しかった」「ホロメン降臨イベントで会えた場所だった」「タレントとファンが同じ空間にいられる貴重な場だった」──タレントと空間共有できる体験そのものへの愛着を語る声が一定数ありました。

二つ目は厳しい総括。「ホロライブに求められているものとカバーがやりたいことのズレを感じる」「面白いのはタレント個人であって、メタバースじゃない」「ハコだけ作っても中身は別の話」。これは正式リリース直後から繰り返し指摘されていた論点で、谷郷CEOの「色々やりすぎた」発言と完全に重なる方向性の声です。

三つ目は投資家・株主目線の評価。「自社株買い30億円とセットで出してくれたのはありがたい」「特別損失32億円は痛いが、引きずるよりは英断」「これでバランスシートがクリアになる」──株価が5月22日に1,832円まで戻したのは、こうした冷静な評価の現れでもあります。悲しい人と納得する人が同居しているのが、ホロアース終了発表後の空気です。

払戻し・最終日までのスケジュール

ホロアースをまだ利用している方、未使用ホロコインが残っている方のために、終了までの主要日程を整理しておきます。

2026年5月14日(既に経過):有償ホロコイン販売停止、マーケットプレイス機能停止。
2026年6月3日23:59(既に経過):公式有償アイテム・クリエイターアイテム販売停止。
2026年6月28日(日)21:00:サービス完全終了。ログイン不可、世界そのものが閉じる。
2026年6月29日12:00 〜 9月30日12:00:未使用有償ホロコイン・クリエイターポイントの払戻し申出受付期間。
2027年5月31日12:00まで:クリエイター向け支払調書ダウンロード期間。

残り3週間。最後にもう一度ログインして、思い出のエリアを歩いておくなら今のうちです。終了日当日の21時直前は混雑が予想されるため、余裕を持ってのアクセスを推奨します。問合せ窓口は holoearth.zendesk.com に集約されているので、払戻しや個別対応はそちらから。

管理人のひとこと

個人的には、谷郷CEOが「色々やりすぎた」と認めたあの言葉が一番刺さりました。アイデアが豊富で多くの可能性を盛り込みたくなる、というのは事業者として自然な動機だと思います。ただ、その全部を一つのプロダクトに同居させると、結局どれも中途半端になる。これは事業の話でも、個人の働き方の話でも、同じことが言えるなと。

ホロアースが残したものは、開発資産だけではないはずです。「ホロライブ・オルタナティブ」というメディアミックス構想の中で、メタバース路線はひとまず終わりましたが、配信アプリやスタジオ技術として息づいていくなら、それはそれで意味のあった5年間だったと思います。素直に、おつかれさまでした、と言いたいです。

参考URL

【重要】サービス終了のお知らせ(ホロアース) | カバー株式会社
カバー株式会社は、「ホロライブプロダクション」をはじめとした日本ならではのコンテンツを世界に向けて発信している、次世代のエンターテインメント企業です。
[Important Notice] Termination of Service Announcement | HOLOEARTH
Official website for the metaverse project Holoearth.
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